映画レビュー!映画『白頭山大噴火』超ド級の迫力ディザスターパニック×現代を考えさせる社会性。まさに「今見るべき映画」!

火山大噴火のディザスターパニックに、スパイ映画さながらの駆け引きをも盛り込んだアクションパニック映画『白頭山大噴火』。2019年に公開された本国韓国では公開後3週連続1位を達成し、観客動員820万人超えの大ヒットを記録!世界90ヵ国以上で絶賛された超大作がついに日本で公開されます!

主演には『神と共に』のハ・ジョンウと『KCIA 南山の部長たち』のイ・ビョンホンという強力ダブルキャスト。さらに、マーベルの最新作『エターナルズ』にも出演するマ・ドンソクや『建築学概論』のペ・スジなど超豪華俳優陣が名を連ねています。

作品を手掛けたのは、『彼とわたしの漂流日記』のイ・ヘジュンと『神と共に』シリーズの撮影監督を務めたキム・ビョンソのタッグ。制作には『パラサイト 半地下の家族』をなど革新的な技術力を誇るデクスタースタジオが参加。迫力の映像に瞬きすらはばかられることでしょう!今回はこの『白頭山大噴火』の見どころとともに、テーマの真意などを探ってみましょう。


※白頭山

北朝鮮と中国の国境にまたがる火山で、朝鮮第一の高峰。標高2744メートル。山の中腹から頂上にかけて白い軽石に覆われているので、白頭山の名がついたという。山頂には天池とよばれる直径約5キロメートルのカルデラ湖が存在する。玄武岩の溶岩台地上に形成された成層火山。過去4000年の間に大規模な噴火を3度繰り返した。

白頭山地域では、2002年ごろから地震回数が増加し、GPS(全地球測位システム)観測によって山頂部の膨張が捉えられており、近い将来、噴火の可能性が危惧されている。(「コトバンク」より抜粋:https://kotobank.jp/word/%E7%99%BD%E9%A0%AD%E5%B1%B1-113793)


【『白頭山大噴火』あらすじ】

北朝鮮と中国の国境付近にある火山・白頭山で、観測史上最大級の噴火が発生。噴火によって大地震も誘発され、ソウル市内のビル群が倒壊するなど、大きなパニックが発生します。

白頭山の地質研究を行っている大学教授カン(マ・ドンソク)はさらなる大噴火の発生を予測。彼の提案する危険な計画を受け、韓国政府は韓国軍大尉チョ・インチャン(ハ・ジョンウ)率いる爆発物処理班に、北朝鮮に潜入して火山沈静化ための計画遂行を命じます。

その計画は、その鍵を握るとされる北朝鮮人民武力部の工作員リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)を見つけ確保することからスタート。かくして韓国全土の運命を賭けた危険な作戦の幕はきって落とされるのでした…。



【ここに注目!】

「火山大噴火」というディザスタームービーとしては1997年公開の映画『ボルケーノ』などを想起させられるところでありますが、この作品の特徴的なところはやはり「大噴火」という障害への対応実行に生じる様々な困難にあります。

『ボルケーノ』をはじめとした様々なパニックムービーは従来、その迫りくる自然の驚異などにいかに立ち向かっていくかという点にポイントが置かれますが、そこに現れる障害というのはあくまで技術的なもの、あるいは偶発的に発生したトラブルという具体的な事項になります。しかしこの作品では『白頭山』という韓国では一つの重要な意味を持つ火山を取り上げ、その障害対処に行きつくまでの「障害」にポイントをおいて描かれています。つまり具体的な行動を起こす以前に様々な問題が立ちはだかるというわけです。

この白頭山は北朝鮮との国境にあり、活火山である上に国交の上でも微妙な位置づけにあるという、単なる象徴的なものではない、あらゆる意味において緊張感を持った場所。そのため、この「大噴火」というハプニングに対する対処を行う上で、実行計画に対して方々から様々な軋轢が立ちはだかります。こういった実行面での障害という描き方は、ある意味日本の映画『シン・ゴジラ』を髣髴するものでもあります。

また、この映画で描かれる「大噴火」の災害を防ぐために考案された対処計画は、ある意味隠れた大きなポイントであるといえるでしょう。災害を防ぐための大きな力として提案される核爆発、それはある場所では国家的な脅威ともなるもので、韓国とその国をめぐる関係を非常に鮮明に映し出すツールとして登場します。その意味においては、これまで割と単純な物語構造で描かれたディザスタージャンルに対し、一石を投じるものともいえるでしょう。


【あわせてここが見どころ!】

またこの作品はテーマ、構成もさることながら豪華スターの競演という点でも要注目。まさに韓流スターの名にふさわしい名優がズラリと顔をそろえています。ハ・ジョンウ、イ・ビョンホン、マ・ドンソクといった代表的なスターが、時にちょっと間の抜けたような「滑稽さ」を見せながら、それをうまく人間味に変えて役者陣のキャラクター性を奥深いものとして表現。

特にイ・ビョンホンが演じるリ・ジュンピョンですが、その性格はどこか貧乏くささ、泥臭さを持ったこ汚い表を持ちながら、自分の守るべきものを決して譲らない芯の強さを持っており、近年はインターナショナルなフィールドにも活動範囲をのばし、かつ「バイプレイヤー」的な位置づけでも果敢に挑戦している経験もあってか、見ているとだんだんと役者の顔が薄れてくる感じを覚えるでしょう

彼と真正面で退治するチョ・インチャンを演じたハ・ジョンウも、また見事と言えます。インチャンは特別な思いもなくこの危険なミッションに引きずり込まれてしまうという役柄ですが、徐々に自分の使命に特別な思いを寄せて事件に向き合っていきます。その姿勢はまさにジュンピョンのものとぴったりと方向をあわせたようでもありますが、演技としてもしっかりとイ・ビョンホンと呼吸を合わせ、時に反発したり、時に同じ方向を向いたりと、物語に強い導線を二人でしっかりと描いています。

またこの二人との共演部分はありませんが、マ・ドンソクの存在感も見逃せません。どちらかというとこれまで肉体派的な役柄の多かった彼は、今回は大学教授というインテリな役柄。お得意のアクションは封印しながらも、自身の持つ緊張感は十分発揮し、かつ「マブリー」と呼ばれる愛らしさを時に見せるなど、ハ・ジョンウ、イ・ビョンホンとはまた違う人間ドラマを演出します。さらにチョン・ヘジン、ペ・スジの女優陣もそれぞれの人間性をいかんなく発揮。「大噴火」という一つのテーマの中で濃密な群像劇を堪能できることでしょう。

火山、そして国の中で大きな存在感を示す山というと、例えば日本の富士山と同じような印象を持たれる人もいるかもしれません。もちろん韓国という国の中では大きな意味を持つ場所ではありますが、同時に非常に複雑な境遇を持った場所でもあります。この地点を境に、韓国を始め様々に対立する国などを見ていると、なにか近年の世界情勢で巻き起こっている様々な障害、問題や国同士の関係にダブって見えるところもあります。特に同じような国同士の関係は我々日本にも感じる面があり、どこか他人ごとではないような雰囲気を感じるところもあるでしょう。

Tex:ナン!でもニュース!!編集部


【作品情報】

監督・脚本:イ・ヘジュン、 キム・ビョンソ/VFX:DEXTER STUDIOS(デクスタースタジオ)

出演:イ・ビョンホン 『インサイダーズ/内部者たち』『MASTER/マスター』

ハ・ジョンウ 『チェイサー』『哀しき獣』『神と共に』

マ・ドンソク 『群盗』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『悪人伝』

チョン・ヘジン『いつか家族に』『王の運命-歴史を変えた八日間-』『名もなき野良犬の輪舞』

ペ・スジ『建築学概論』『花、香る歌』

2019年/韓国/スコープサイズ/5.1ch/128分

原題:백두산

英題:ASHFALL

字幕翻訳:根本理恵

配給:ツイン

(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, DEXTER STUDIOS & DEXTER PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト:https://paektusan-movie.com/

8月27日(金)TOHOシネマズ日比谷 ほか全国ロードショー

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