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今回紹介する映画は、近年では中国武術・詠春拳の大家の一人を描いた『イップ・マン』シリーズなどが人気を博した、香港のアクションスター、ドニー・イェン主演の映画『シャクラ』。
この作品は、香港の武侠小説家・金庸の長編小説「天龍八部」を原作とした物語で、4人の主人公のうちの一人、無敵の武芸者・喬峯（きょうほう）の活躍を描いたもの。この原作のファンであるというドニーが自ら製作・監督・主演を務めました。
香港を代表するアクション俳優のドニーだけにその迫力は「間違いない！」といわざるを得ないド迫力。さらに本作では日本の実写映画『るろうに剣心』シリーズなどのアクションシーンを手がけた谷垣健治がアクション監督を担当。豪快で迫力十分のアクションシーンに、美しさすら感じられるゴージャスなモーション。まさしく「間違いなく」目が釘付けになるアクション活劇であります！！
【STORY】
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丐幇（かいほう）の幇主である喬峯は人々から慕われる英雄的存在だったが、副幇・馬大元殺しの濡れ衣を着せられ、さらに漢民族ではなく契丹人であるという、自分のルーツまで暴かれ、丐幇を追放されてしまいます。
そして彼は自分を陥れた人物を探すとともに、自身の出生の真実を突き止めるべく旅に出ますが、その先にはさらなる巧妙な罠が仕掛けられ、彼の行く手を阻んでいきます……。
丐幇：中国の大衆小説である武侠小説に登場する、乞食によって構成される幇会を指す。
契丹：モンゴル高原に住んでいた騎馬遊牧民。
（『歴史人』より）
【ここに注目】
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いわれのない非難を受け、自身のテリトリーであった丐幇を追われながらも、自身の筋を通し汚名を晴らすべく我が道を進む喬峯。
正直で優しさもありながら、プライドの高さを見せるその人間性は、まさしくドニーがかつて演じた「イップ・マン」と、どこか重なる部分も感じられるところでもあります。
本作を手がけるにあたり、ドニーは『イップ・マン』シリーズの栄光に甘んじず新たな挑戦を、と歩みを進め、その指針としてハリウッドが発信し続けるヒーローアクションものが主流となっている現状に対し「中国独自のアクション、ヒーロー」を知ってもらい、中国武侠映画の新たな高みを目指したいと語ったといいます。
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ドニーが演じる喬峯には、従来のヒーロー像とはどこか異なる、「悟りを開いた」ような推し量れなさ、底の深さが感じられることでしょう。
ある意味そこにはヒーローが「なぜ戦うか」という意味を客観的に深く追求した姿すら見えてくるからです。
武林最強の技「降龍十八掌」を駆使して刺客たちを次々と倒していく喬峯。彼には「戦わなければならないから戦う」などといった消極的な像は見えず、武闘家としての生きざまに強い意味すら見え、その力強い表情には思わずグッと引き込まれること必至であります！
一方で自身の出生の秘密に悩む姿、自身を信じた人が失われていくことへの悲哀など、人間ドラマもテンコ盛り。アクションという局面だけでなく、物語としてさまざまな側面で見るものに刺激を与えてくれる作品であります。
【あわせてここも見どころ！】
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また本作最大の見どころは、なんといっても力強く、かつ流麗なバトルシーン。中国ならではの練りつくされたワイヤーアクションはもとより、武林最強の技「降龍十八掌」を駆使して戦う喬峯の動きは、文字通り「流れる」ような流麗さ。このあたりはまさしく谷垣健治アクション監督ならでは。作品のアピールポイントとして一押しされるにふさわしいシーンを演出しています。
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そんな強烈なインパクトを醸すバトルシーンを、最新SFXがさらに後押し。まるで日本の人気コミック「ドラゴンボール」を彷彿する、喬峯が持つ異次元の強さを存分に表現。「宇宙最強」などと命名された（笑）ドニーの存在感を、妙に納得させてくれるようなインパクトで見応えたっぷりな物語を形づくっています。
まさにハリウッド一極に傾きかけた現代のアクション・ジャンルに゛待った！”をかけるような、スゴイ作品の登場であります。ちなみにエンディングはどこか続編をにおわせるもの。次はドニーがどんな強烈なアクションを見せてくれるのか、そんなことまでふと考えてしまう作品であります。
【作品情報】
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『シャクラ』
監督：ドニー・イェン
出演：ドニー・イェン、チェン・ユーチー、リウ・ヤースー、ウー・ユエ、カラ・ワイ、チョン・シウファイ、グレース・ウォン、ドー・ユーミン、レイ・ロイ、チョイ・シウミンほか
2023年製作／130分／G／香港・中国合作
原題：天龍八部之喬峰傳 Sakra
配給：ツイン
公式サイト：https://sakramovie.com/
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