現在、ユーロスペースを始め全国順次公開中の映画『スザンヌ、16歳』。公開より3週目を迎えた本日、ユーロスペースにて監督、脚本、主演を務めたスザンヌ・ランドン監督がオンラインティーチインに登壇しました!
スザンヌ・ランドン、そして公開初日のトークにもお越しくださいました編集者であり、ライターの小柳帝さんを聞き手にティーチインを行いました。
【日時】9月4日(土)17時の回上映後
【場所】ユーロスペース
【オンライン登壇者】スザンヌ・ランドン(21)(本作監督・脚本・主演)
【聞き手】小柳帝(編集者・ライター)
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<レポート>
9月4日(土)、ユーロスペースを始め全国順次公開中の映画『スザンヌ、16歳』。公開より3週目を迎えた本日、ユーロスペースにて監督、脚本、主演を務めたスザンヌ・ランドン監督がオンラインティーチインに登壇しました!
ティーチインが始まり、この映画のもとになる脚本を15歳の時に書かれたということですが、その時点でその脚本を映画化したいと思われていましたか。という映画制作のきっかけを問われ、スザンヌは「15歳で脚本を書きはじめた頃から監督も女優も前提に進めていました。元々女優をやりたいと思っていましたが、両親共に俳優のため女優をする正当性が欲しかったんです。自分で脚本を書いて自分で監督をするという形なら女優ができるだろうと思いました。さらにメッセージ性も強く生まれると考えました。」ととてもエネルギーに満ち溢れたコメントを寄せました。
また、この映画には自伝的要素とフィクションが混在しているとのことですが、どのような箇所が自伝的なのか具体的に教えてくださいと聞かれると、「『スザンヌ、16歳』が第一作目で一本しか作っていないので十分に語ることはできないですが、すべての映画のもとになっている物語は誰かの人生の経験から来ていて、そこにフィクションを足して映画を作っていくのだと思います。自分をさらけ出すだけではおもしろくないと考えています。
特定のシーンやセリフというよりは、映画の全体のカラー、そして感情や感覚が自分自身の体験から出ています。15歳の思春期真っ只中だったのでまさにそれを示したいと思ったのです。混乱する年代でもありますし、かと言って想像の世界を生きているわけでもない。孤独感とか、日常をつまらないと思ってしまうところとか、何でも知らなくてはいけない年齢だがわからないことはまだたくさんあって、自分の中で自分を探していく…。
さらに周りの人との違いを感じ、息抜きを探している年代ですね。あとは家族との関係も描きたかったのです。往々にして親や友だちなどの周りとの対立が想像されますが、かならずしもそうではないあくまで普遍的なものを描きたかったのです。」という自身の思春期と初監督作品として本作を描く上での向き合い方について丁寧に答えました。
2020年カルチャラタンのリセで過ごしていたスザンヌ。本作の舞台もモンマルトルを中心に映画の中でも重要なスポットとして描かれるアトリエ座(Théâtre de l’Atlier)が出てきます。ここはシャルル・デュラン(Charles Dullin)が作った名小劇場ですが、この劇場に思い入れがあったのですか。という映画でも印象的な劇場であるアトリエ座(Théâtre de l’Atlier)やパリの風景について尋ねられると「私はモンマルトルという場所というより、劇場にとてもこだわりがありました。私の映画の作風で好きなのは登場人物が少ないこと、そして限られた場所で作られているものが好きなんです。例えば、バカンスを過ごしている村だったり、あるいは家の中であったり。また今回の作品では限られた中でもパリをたくさん撮っていて、パリ自体が一つの登場人物としてもみられる。
また劇場である、アトリエ座(Théâtre de l’Atlier)が好きなのはとっても身近な、人間サイズだからです。小さな家のようにアルノー・ヴァロアが住んでいてもおかしくないようなお家みたいな感じに映画を見ている方々にみせたかったんです。私自身は南東にある地方のプロヴァンスにとても綺麗で好きな劇場があるんですけど、自分が暮らしているということも含めてパリで撮りたいと思い、人間サイズのアトリエ座(Théâtre de l’Atlier)を選びました。」というスザンヌ自身も身近に過ごしているパリ、そして自身が描きたいと思う映画像について話しました。
また、イベントの最後には映画をご覧になった方々より質問を受け付け、「スザンヌとラファエルのこの後の関係はどうなっていくのでしょうか?また、スザンヌとラファエルの踊りにはどういう意味をこめましたか?」という質問が上がりました。それについてスザンヌは、「スザンヌとラファエルは今後どうなるか?」という質問は私の大好きな質問なのです!と答えつつ「実は私自身、どうなるかわからないので、あのようなオープンなラストを選びました。
みなさんにも想像していただいて、それぞれ続きを考えてもらえたらと思っています。私の解釈をお話しすると、スザンヌは、自分の学校生活や家庭生活から外に出る出会いを必要としていた。けれどもそれが実現したおかげで、かごから出た鳥のようになることができたんです。それで自然に自分の今までの元の生活にもどって、自分の年齢を生きることに自然に幸せを感じられるになったと思います。一方、彼の方は、スザンヌと一緒にいることですごく自由でいたけれど、それが終わることでまた大人の閉じられた世界に戻ることになる。そういう意味で彼女との出会いに最後の開放感のようなものを味わったんじゃないかと思います。そう考えていくと、この先、二人の出会いが続いていくことはないのかなという気がしています。
ダンスに関しては、二人の愛情を感じている人たちの関係を、慎み深くピュアな形で互いを尊重しあう関係として描きたかったんです。一方で、禁じられた恋ではないし、年の差を強調したかったわけでもなかった。むしろ二つの人生の違う時期にありながら孤独を感じている人たちが出会って、愛情を感じるようになる。そういう二人の関係性は知的なもの過ぎてもいけないし、プラトニック過ぎてもいけないし、ある種の官能性も必要なのだけど、それを強調しすぎないようにする方法としてダンスを取り入れたわけです。なので二人がとても浸透しあっていることがダンスに出ていると思います。
二人が同じことを考えていて夢のようでちょっとズレ感もあって、共通の言語が必要だと思ったので、そういったことをダンスで表しています。」と映画で描かれるスザンヌとラファエルの関係性であったり、ダンスに込めた想いを語り、場内はスザンヌの可愛らしい笑顔と、暖かい空気感で本ティーチインイベントは終了いたしました。
《STORY》
スザンヌは 16 歳。同年代の友人たちに退屈している。恋に憧れはあるけれど、学校の男の子たちが魅力的とは思えない。ある日彼女は、劇場の前で年の離れた舞台俳優のラファエルと出会う。
彼もまた繰り返される舞台や仲間たちとの付き合いに退屈していた。そんな二人はすぐに恋に落ちる。けれどスザンヌは、彼に夢中になればなるほど、不安にもなりはじめる。自分が思い描いていた“16 歳の時”が、どこかに消えていってしまいそうで…
2020 年/フランス/77 分/原題:16 Printemps(Seize Printemps)
【キャスト】スザンヌ・ランドン、アルノー・ヴァロワ(『BPMビート・パー・ミニット』)、フレデリック・ピエ
ロ、フロランス・ヴィアラ、レベッカ・マルデール
【スタッフ】監督・脚本: スザンヌ・ランドン 編集:パスカル・シャヴァンス、音楽:ヴァンサン・ドレルム
配給:太秦、ノーム
公式サイト:suzanne16.com
公式 Twitter/Instagram:@suzanne16_film
ユーロスペースほか全国順次公開中
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